神林長平
知の異星体・ジャムが、突然南極に超空間通路を開いて地球を攻撃してきた。人類は実戦組織FAFを通路の向こう側に送って反撃する。通路の先は惑星フェアリイ。遠く地球を離れ、正体不明の敵と戦い続ける戦士たちは何を感じて死んで/生きてゆくのだろうか。


味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情かつ冷徹な任務につく深井零。テクノロジーが発達してもはや戦闘機に人間はいらないと言われながらも、彼は自分の愛機・雪風に対する愛着を捨てられない。ある時彼は偶然敵の正体を知るチャンスを得た。そこで知った事実は、人間の存在理由をゆるがすほどに衝撃的であった。
機械や戦闘機の描写に圧倒的な量をついやし、非人間的な状況を書き尽くすほどに、逆説的に人間性が浮かび上がってくるという話のつくりが非常に魅力的。
機械と人間、言葉と人間……読み終わったあと、人を人としてあらしめるのは何であるか、考え込んでしまった。
この作品は1984年に刊行され、2002年に加筆訂正のうえ、改訂版として出されている。
(初出:2003.9.29)

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