ハセガワケイスケ(電撃文庫)
ある時書店でタイトルと表紙イラストを見て心が動き、カバー内側の紹介文を読んだ時に衝動買いが確定した。
「そして、死を司る少女には、他の仲間と違うところがありました。その姿が雪のように真っ白なこと。その心が、春のようにやさしいこと。」
もちろん、この手の紹介文に騙されることが多々あるわけで、それでも構わないと半分賭けの気持ちで買った。なにしろ「白い少女の姿をした死神」という設定に「やられた!」と思ってしまったのだから。


幸い、期待はあまり裏切られなかった。
書店では1巻が見つからなくて、まず2巻から手をつける。
短編連作で、10代の若い子たちが、死を通じて自分の生を見つめ直す話が3つ、白い死神自身の話が1つ納められている。
どの話も素直で前向きな印象が伝わってくる。やや癒し系の話かも、と思う。
面白いなと思ったのは、好きな女の子の笑顔が見たくて、つい道化を演じてしまう男の子が何人か出てくること。逆に、その男の子のおどけぶりを「バカだよね、こいつ」と思いながら癒される女の子がいること。
この話の作者はかなり若そうなので、チューリップの「さよなら道化者」なんて知らないと思うけど、その曲を彷彿とさせるような感触がした。
その後、1巻を入手。
2巻よりシビアな話が4つ詰っていた。
有名画家である父に対するコンプレックスに悩まされ続ける少年の話、捨て猫を、そしてその猫を拾った病弱の少女を守ると誓って守りきれなかった少年の話、親による虐待という同じ心の傷で結ばれた高校生のカップルの話、そして洋館の一室から一歩も外に出ることなく育った五才の少女の話。
電撃文庫ということもあって、文体は軽めだけど、テーマは湖の底に眠る石みたいに重い。
今も昔も、状況は変われども、生きるのが大変であることに違いはなく、しかも命を持っている限りは生き続けたいと、根っこのところでは思っているのが人間なのだ。
白い死神「モモ」自身の話も少しずつ明かされていく。普通の死神とは全然正反対の性格を持つ彼女は何者?
つい先日、3巻が出た。買うのは時間の問題かと。(2004.1.23)
追記
結局4巻まで買って、続きを追うのはやめにしてしまった。なんでだろう。もうそういう話をたくさん読む年ではないってことかな。それにモモの正体がおおかた分かってしまったせいもあるし。

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