江國香織
タイトルを見て思わず買いそうになった。
それをこらえて図書館で予約して読んだ本。
(なぜなら、昔、自分が開いていたサイト名にそっくりだったからなのさ)


瑠璃子と聡という夫婦は、聡の妹から「瑠璃子さんたちって、ほんとにへん」と言われる間柄。
妻も夫も似たもの同士というか、どちらも非社交的なところがあって友人がとても少ない。妻は人気のテディベア作家で、神経質で繊細なところがある。夫は会社から帰宅すると、妻の話を一通り聞いた後、自室にこもって鍵をかけ、ゲームをしたり音楽を聴いたりするのが常である。
いっしょに暮らすようになってから、どこか心が通じなくなってしまったこの夫婦は、それぞれに孤独を抱えながら互いに愛人を持つようになる。それはこの夫婦が持つ初めての秘密である。はじめのうちは当人たちもとまどいながら不倫関係に陥るのだが、結果的にはその方が結婚生活がうまくいってしまう。物語は妻は不倫を止めた時点で終わっている。
読み終えた後の印象は「江國さん、難しいところに挑戦している」だった。
人の孤独について掘り下げようとしているのではないかという印象を受けた。
夫婦としていっしょに眠り、同じ食事をとっているのに満たされない。かえって孤独感は深まるばかりだ。そして妻も夫も配偶者とはまったくタイプの違う、生命力あふれる異性に惹かれていく。でも帰ってくる場所はやはり配偶者のところだ。
そして正直に何でも話すより、嘘がある方がうまくコミュニケーションがとれるという不思議。
一読者としても、瑠璃子と聡はやっぱり変な夫婦だと思う。でも夫婦の距離感については、共感できるところがたくさんある。
夫婦には隠し事の一つや二つや三つ、いやそれ以上あった方がうまくいくというのは、自分の正直な実感でもある。たぶん隠し事をすると相手との間に適正な距離を保てるからだろう。
誰にでも自分だけの世界や時間や空間は必要なのだ。
(2004.8.3)

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