玄田有史・曲沼美恵
ニートというのはNEET、Not in Education,Employment or Training の頭文字をとったもので、学校を出たものの職に就こうとしない若者を主に指す。
イギリスで問題になり、日本では2003年あたりから急増したという。
この本は、経済学者の玄田氏とインタビュー担当の曲沼氏が協力してNEETの実体と解決策を提示するノンフィクション。


どうしてNEETという現象が生じるのか、はっきりした原因は特定できない。本人の気質、親との関係、学校での体験、いろいろな要素が絡み合っているからだ。だが、現在の大人社会が持つ問題点と関係があるのは確からしい。
たとえば、若者に対する求職の窓口がせまくなっていること、親の世代がリストラに合って苦労していること、相変わらず締め付けの激しい受験競争、成績が下位の者に対する救護策が不十分なこと。
そんな中で、「どうして働かなくてはならないのだろう」と立ち止まってしまったのがNEETであると著者は指摘する。
たぶん、「社会的ひきこもり」と根っこは同じなのだろうと思う。
NEET予防策として、県内すべての中学二年に連続5日間の就労体験をさせる、兵庫県と富山県の試みが紹介されていた。
この就労体験で大事なのは、仕事の内容を知ることよりも、むしろ働いて人の役に立てるという実感を得ることなのだという。もっと根本的な言い方をすれば、生きている実感と自分に対する自信である。
というのも、それらがNEETと言われる青年たちに欠けていると著者は考えているからである。その成果が出るのは数年先。まだまだ注目されたばかりの現象だ。
理論部分と、インタビュー部分の絡みがうまくいっていて、なかなかわかりやすく興味深いレポートだと思った。
(2005.1.7)
追記
この本を読んでしばらくしてから、あちこちでニートという言葉を聞いたり目にするようになった。ニュアンス的には「フリーター+引きこもり÷2」という感じ。

広告