一昨日の夜から、息子が熱を出して寝込んでいる。治るまでは外出もままならない生活。一方元気一杯な姉はストレスをためているし。
こんな状況からでも、楽園は作れるのかしらん。
とりあえず本を一冊読む時間は作れたけど。


楽園の作り方/笹生陽子 
都内の私立中学校に通う星野優は、「家族の事情」で突然父の実家へ引っ越すことになる。10キロ四方が「ご近所」という土地で待っていたのは受験戦争も偏差値もパソコンもない山奥の分校。クラスメートは三人。いずれも負けず劣らずワケありっぽい面々で、三人のうち二人は山村留学生だった。
この主人公、思いっきりクールな勉強バ×。ろくに友達も作らず、受験のことしか頭にないのかと思わせられるが、それには深いわけがあって、その理由は最後の方で少々残酷な形で暴かれる。
父の死を受け容れられずに、父あてにメールを送り、作り貯めておいたにせの返信メールを自分あてに送る日々。自分にしかついていない嘘だから、かえって歯止めがきかなくなり、いつのまにか自分で作り出した仮想の世界にはまって動きがとれなくなる恐さ。
でも、母親はそんな異変にとっくに気づいていて、強引に息子を父親の実家へと連れて行く。
今風のちょっとひねた中2の成長物語という感じ。
エピソードの絡め方、種明かしのタイミングと手段、ちょっとしたトリックのしかけなど、申し分ないバランスで作られているなあと感心した。さすが講談社児童文学新人賞の受賞作。
でも、枚数が少ないせいか、ワケありな同級生や認知症気味の祖父の描写が薄くて、それが残念。
せっかくあんなに面白い同級生をつくっのだから、もっと笑えたりしみじみしたりできるエピソードが作れそうなのに、ちょっともったいない。

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