言わずと知れた手塚治虫の作品。
初めてのカラーアニメということで評判になり、私も見た記憶がある。
ところが、アニメと原作はほとんど別物といってよいぐらい違っていた。


レオの父は知っていたが、子供までいたなんてー! しかも準主役級の扱いだった。それだけでなく、奥さんが病気で死んでしまうとか、レオが人間世界で育ったという設定とか、驚くことだらけ。
一番違うと感じたのは、主となる舞台がジャングルではなく人間社会であったこと。立場や利害の違う人間たちが、幻の石をもとめてジャングルに分け入るのが中心のストーリー。
いやーもう、金銭欲、権力欲ドロドロ。誰かが完全に悪いわけでなく、みなそれぞれの立場と打算があって幻の石に絡むし、また絡ませられる。人間のドラマとしては素晴らしいと思う。
また、レオがジャングルに戻ってくるシーンにおどろき。生まれて初めて見るジャングルに「こんなところ、ぼくのふるさとじゃない」と泣いてしまうのだ。彼は人間に育てられているから、ふるさとの風景は、道路があって家の立ち並ぶ町の風景だ。そして、人間みたいに服を身につけているのが象徴的だった。彼が服を脱ぎ捨てるときこそ、本当にジャングルに戻ってきた瞬間だった。
ただ、本音を言うと、ジャングルの人間社会化にはついてゆけなかった。確かにターゲットは少年少女向け、ありえない世界だからこそ面白い冒険物語だ。
でも、動物にとってはそのままで完全な世界=ジャングルを、どうしてわざわざ人間世界に近づける必要があるのだろう。人間と野生動物の共存共栄を謳いたかったとはわかる。でも、そのありかたにひどく心地悪いものを感じてしまう。
きっと、自分の中で人間の文明を完全に是としていないからだろう。
それに、自分の性向として、犬や猫でさえ人間の手で飼いならすことに抵抗を覚えるぐらいだ。動物は野生で生きる姿が一番美しいと思う。(だから今でも自分から進んでペットを飼う気になれない)

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