上橋菜穂子
ようやく和製ファンタジーに手を出しました。ああ、なんて読みやすい!


あらすじはちょっと検索すれば出てくるはずだが、大まかに言うと、女用心棒と精霊の卵を宿した皇子の物語。
文化人類学者が書いているだけあって、文化的な背景がとてもしっかりしている。基本はモンスーン気候の文明で(たとえば稲作が中心、建物の中には土足で上がらない)その周辺に先住民の文化として、どことなくアボリジニを思わせる異文化が存在する。
それは精霊の存在であったり、人間が生きている世界(サグ)と同時に同じ場所に重なるようにして存在するというナユグという精霊世界の設定だったり。
当然シャーマンもいて、彼らも主人公に負けない活躍をする。
文化同士の衝突と融合、また政治的な強者が自分に都合の良い神話を作って残したり、政権を危うくする存在を密かに抹消する経緯も丁寧にわかりやすく描かれていた。
登場人物の設定もきちんと描かれていて、主要キャラの生い立ちや過去、現在の心の動きなどが手にとるようにわかるので、登場人物が多い割に混乱しない。
ある意味、異世界ファンタジーのお手本というか、基本形かもしれない。
しっかりしているのはそれだけでなく、女用心棒バルサの戦いっぷりが素晴らしい。彼女の得物は短槍だが、巧みな武器さばきがそりゃもう見事に描けている。ふと、この作者は、某るろうにを読んだのかも、と感じてしまった。
最近、翻訳ものばかり読んでいたせいか、日本人がもとから日本語で書いた文章ってこんなに読みやすかったっけ? とひどく新鮮に感じた。一気に最後まで読み通しても全然疲れない。まあ、字の大きさのせいもあるだろうけど。

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