横山充男

水の精霊〈第1部〉幻の民 水の精霊〈第1部〉幻の民
横山 充男

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かつての日本には、セゴシと呼ばれる山川の守り手がいた。彼らは太平洋戦争中も「殺さず」を貫いたため、終戦前後、国から強い弾圧を受け、今や絶滅の危機に瀕しているという。
東京で育った中学2年生の真人は、学校でのいじめ事件をきっかけに、祖父の暮らす四万十川下流の町・一条で夏休みをすごすことになった。彼の祖先はセゴシだった。真人は本物のセゴシとして成長するために、祖父のもとに呼ばれたのだった。


最初は、官房長官付きの調査室やら刑事やら、あやしげな神官が出てくるので、どんなミステリーかと思った。
が、ページをめくっていくうちにいつの間にか、少年の成長物語になっていた。ちょこっと裏切られた気はしたが、それはそれで充分に読み応えがある。
リアリズムとファンタジーな部分がほとんど違和感なく溶け合っていて読み心地がよい。描写そのものは、まるでドキュメンタリー番組でも見ているような細かさ。割合としてはリアリズム的な描写が8でファンタジーが2ぐらいかな。なかなか好みの配分。
自然そのものが神聖な存在だと考えるセゴシの価値観と、縄文人(←たつみや章の描く)の価値観はかなり似ている。日本人のルーツはそこにあったのかと改めて見直した次第。
実は、物語はまだまだ始まったばかりで、続きが気になって仕方ない。

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