火車 火車
宮部 みゆき

新潮社 1998-01
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この人の作品は初めて読んだ。
舞台は1990年代でちょっと古いけど、消費者金融や破産をからめつつ、不思議なミステリーになっていた。まさにタイトル通り、経済状況が「火の車」な登場人物が何人も登場。そしてそれは必ずしも本人だけの責任ではないという、社会の問題点をつく視点が気に入った。(目からウロコという意味で)


ある人間が他人の身分をすべて乗っ取ってしまう。そんなことが現在の社会で可能だとは驚いた。もちろん法律を破る必要はあるし、のっとった相手が生きていては困るのだが。その乗っ取りを9割方成功させたのは、まだうら若い女性。
ある意味主人公とも言える彼女が生身の人間として登場するのは、量にしてほんの1ページ程度。そのほかは、ひたすら書類や他人の記憶、言い換えれば言葉の中だけで存在していて、生死もわからないというつくりが面白い。読ませるなあと思う。
そして、この作者は人物描写がとても丁寧。主人公の気持ちのゆれも丁寧に汲み取ってあるし、重要な脇役(それも結構な人数になる)については、どんな過去をたどってきたか、きっちり押さえてある。だから厚みのあるミステリーになるんだな。

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