4652071787 「少女神」第9号
フランチェスカ・リア ブロック Francesca Lia Block 金原 瑞人
理論社 2000-02

by G-Tools

何年も前から気になっていて、図書館で借りようとしたら入っておらず、今年に入ってから本屋で取り寄せ注文。初夏の季節になってやっと読むことができた。読み終わって思うのは、本との出会いもタイミングがあるらしいということ。
「現代のナインストーリーズ」との触れ込みで、その期待を外すことはない短編集だった。ただ、こちらは舞台が主にロスやサンフランシスコで、どう考えても完璧なまでに女の子を狙った物語だということ。


”少女神”というのが実に面白い。具体的には、仲良し二人組みの女の子たちが遊びで作った雑誌の名前を指すのだけど、もっと大きな意味では女神になった少女や少女になった女神が出てくる話が集まっているから、ということらしい。
ダンス、クラブ、パンク、ヘビメタ、モヒカン、タバコに麻薬などなど、いかにもアメリカの若者が好きそうな単語がたくさん出てくる。ファッションの描写が細かい。車が登場するときにはたいてい車種名で登場する。
面白いのが、有機栽培食品や日本食が流行になっているらしいこと。サンフランシスコへデートに行った二人が日本料理店に入り、味噌汁とほうれん草の胡麻和えとカリフォルニア巻きを注文するシーンなんかもある。
文体は明らかに少女向けだけど、作中に登場する人物は、少年も少女も関係なく、中性的な存在に憧れる。天使には性がないせいだろうか。
それだけでなく、同性愛者(男同士も女同士もある)、性同一性障害者がごく普通に登場するし、魂の友(ソウルメイト)や、友情を越えた絆も描かれる。
まるで誰もが性のくびきから逃れて、魂の結びつきを求めているよう。
9作収められている中で、一番気に入ったのが「マンハッタンのドラゴン」。
これは珍しくニューヨークを舞台にした話で、ダコタハウスやレノンとヨーコ、ウォーホール、メイプルソープなど、私の好きなアーティストや彼らに縁の深い場所が色々出てきて、物語の空気になじみやすかったことと、また、ストーリー的にも最後のトリッキーな仕掛けが面白かったこと、がある。
他の話もそれぞれに魅力があって好きだけど、どれも遠い地の話なのにひどく懐かしかった。自分の中で長いこと眠っていた少女が目を覚ましたような、不思議な読後感。

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