4487793149 アイルランド 人・酒・音
守安 功
東京書籍(株) 2002-07-09

by G-Tools

アイルランド民族音楽演奏家による、アイルランドの音楽的旅行記。土地の人と直に触れ合う話が大部分を占めていて、それがすごく興味深い。
楽器の説明やアイルランド音楽の解説なども合間にはさまっており、それらは簡潔でわかりやすい。
図書館の音楽書コーナーで目にとまった。以前からアイルランドの音楽には興味があったので、好奇心と資料探しの両方の意味で読んでみた。


結構当たり、だったかな。
正直なところ、文章そのものは読みやすいとはいえないし、音楽のスピリットを文章から感じ取ろうとしても、ガラスの向こうにあるご馳走の匂いをかぐようなもので、どうにももどかしい。もし、一曲でも実際にその土地の音楽が聞けたら、どんなにか伝わるものがあるだろうに、と思う。
それでもなお、アイルランドの人たちがどんなふうに音楽と付き合っているか、それが彼らの魂にはどうしてもなくてはならないもの、まさに空気と同じで意識せずとも、生きていくためにはどうしても必要なものだということは伝わってきた。
かの土地では、テレビもラジオもない時代、娯楽といえば夕食後に友人の家に集まり、皆で音楽を奏でて踊って楽しむことぐらいだったという。音楽の友はもちろんビール。子どもたちはそんな集まりの中で自然と歌を覚え、年上の家族に楽器の手ほどきをしてもらう。
この世界、自分的にはユートピアとしか言いようがない。昼は畑仕事や家畜の世話、夜は友人らと音楽。ええのぅ。
そうそう、本の中でアイルランド音楽の特徴について述べられている部分がとても興味深かった。いくつかの特徴は、日本の民謡や童謡と共通するものがあるという。
この一連の解説の中で、スカボローフェアやグリーンスリーブスも引き合いに出されていた。なぜスカボローフェアがあんなに切なく懐かしいメロディなのか、その謎が一気に解けた。そして、グリーンスリーブスのド♯とドの謎も!
ちょっとだけヒントを書いておくと、アイルランドの音階の中に、ドレミファソラシドのシドの音が全音間隔になる音階があるそうだ。つまり、ドレミファソラシ♭ドとなるわけで、そこに独特の哀愁がただようらしい。これに関してはあらためて記事を書き起こそうと思う。
情報として興味深い記述はたくさんあったが、ここまで解説されると、やはり音楽を聞かなければ始まらないという気持ちになる。(>_<)

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