4494027294 シェーラひめのぼうけん うしなわれた秘宝 (フォア文庫)
村山 早紀
童心社 1997-09

by G-Tools

フォア文庫に手を出してから2シリーズ目。
読者対象は小学校中~高学年なので、文章はとてもわかりやすく、話は起伏に富み、なおかつ語られている内容には、きちんと一本筋が通っているところがさすが。
ちなみにこの巻のテーマは「友情と裏切り」。裏切りによって傷を負った登場人物がひしめく中、シェーラひめは命をかけて友を守ることになる。


「シェーラひめ」の物語で舞台となるのは「さばくの世界」。何を隠そう、これはまさにアラビア世界。ジンが登場するのはあたり前としても、「お酒は悪魔の飲物」という、イスラムの約束事が登場し、おまけにこっそりお酒を出す店でひと騒動おこすなんて、心憎い演出。
ファンタジー世界での冒険物語でありながら、こうやって世界の屋台骨がきちん作られているので、とても話がわかりやすいし、安心して読み進められる。
キャラクターの設定が濃いのも楽しい。元盗賊・現科学者(?)のハッサンとか、悪役魔法使いのサウードなど、敵役・脇役にまできちんと過去の物語が描かれていて、登場人物すべてに感情移入できる。(これ、物語を作る上で、大切かつ難しいところ)
キャラクターがしっかりオリジナリティを持って立っているので、たとえ舞台設定がありがちな、というか、これまで幾多の物語で使われている設定であっても、新鮮味を感じつつ面白く読めてしまうのだろうな。
自分的に一番気に入ったキャラは、やはりというか、例によって例のごとく、悪の魔法使いサウードなのだった。ヘビの魔神と対話するシーン、ツボにどんぴしゃり。すでに自分の心は人間ではなく魔物だという……!

広告