426506356X 黒い森の迷路
池田 美代子 琴月 綾
岩崎書店 2004-11

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「フォア文庫を味見しよう!」キャンペーンを張っているわけではないが、今度はルナシリーズを読んでみた。
読者対象は、海賊少女やシェーラ姫と同じく小学校中~高学年向け。基本の起承転結は似ていても、作者によって語りのトーンがずい分違ってくるものだなぁ。 


主人公の竜堂(りんどう)ルナは、妖怪の血を引き、うなじに第三の目を持つ、特別な力の持ち主。なにぶんまだ小学生なので、お守役の妖怪二匹をともない、人間界にまぎれこんだ妖怪たちを妖界へ送還する役目を負っている。
彼女が今回戦う相手というのが、木の妖怪キムナ。自然を破壊して自分たちの楽園(=リゾート地)を作る人間たちを許せずにいる。彼は、普段は幹太郎という青年の姿をしていて、いかにも人の良さそうな喫茶店の主。幸か不幸か、ルナは幹太郎に初恋をしてしまった。それでも妖怪にはそれなりの対処をしなくてはいけない。そこが少々切ない。
切ないといえばもう一ヶ所、キムナが島の神の悲鳴だと思い込んだ声、それが実は我が子を助けてほしい母の必死の叫びだったという場面。
そこから、島の神が大切にしていたのは、人間をも含むすべての島の命だとルナがキムナに説く場面に続いて、「人間vs自然」の構図を見事にぶち壊しているところが小気味良かったのだった。
女の子向けの物語、という皮をかぶっているけれど、この物語は核にシビアなテーマを持っていそう。

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