4062756188 ピアニッシシモ (講談社文庫)
梨屋 アリエ
講談社 2007-01-12

by G-Tools

pでもppでもなく、pppなんですね。心の奥で微かに、でも確かに鳴りひびくピアノの音。
タイトルだけを見ると、なぜかチャイコフスキーの楽譜が頭に浮かんでしょうがないのですが、表紙をめくると、章のタイトルは主にピアノの小品から採られているようです。そして読んでいる時、頭の中に鳴り続けていたのはラベルのソナチネ。特に意味はないのですが。


内容は、どこといって取り得がないと思い込んでいる中学生の女の子の話。
文章そのものは、それこそサロンでサティのピアノ曲を聴いているような心地よさで、女の子の心の動き――家族に対する嫌悪、自分に対する落胆、友人に対する憧れ、嫉妬、とまどい、その他もろもろの思い――が連綿とつづられている。
中学生って、ものすごく難しい年ごろで、大人を突き放してみたり時に甘えたくなったり、自意識過剰になったり。その雰囲気がひどくリアルに出ていた。
松葉ちゃんは、将来、本当にたい焼きの屋台をひいて日本中を旅するのかな。それとも、「昔はそんな夢を持っていた」とほろ苦い感傷を感じつつ子どもに語るのかな。

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