ミッシャ・マイスキー「わが真実」―魂のチェリスト ミッシャ・マイスキー「わが真実」―魂のチェリスト
伊熊 よし子

by G-Tools

ソ連で生まれ、音大生時代に不当逮捕で強制労働所行きになり、釈放された後イスラエルへ亡命したチェリストの自伝。「イスラエル」から連想されるとおり、れっきとしたユダヤ人。
伝わってくるのは、音楽に傾ける情熱だけでなく、コンクールの裏事情、プロとして活動する厳しさ、ソ連時代のロシアの国内事情などなど。音楽と人間性が切っても切れないように、音楽と社会もまた切っても切れない関係にあるのだと痛感する。


このチェリストを始めて知ったのは数年前、あるTV番組の中だった。その道の第一人者が子どもたちに特別授業をする番組だったと思う。
チェリストは子どもたちに、バッハの無伴奏チェロ組曲を聞かせた。端正で安定した録音と自由闊達で情熱溢れる録音の二つを。どちらも、このチェリスト本人のものである。問題は、どちらが新しい演奏か、ということだ。子どもたちの意見は半々に分かれたのではないかと思う。
答えはというと、後者のほうが最近の演奏だ。ソ連から亡命してからというもの、音楽がどんどん変わっていったという。
この番組を見て以来、このチェリストが弾く新しいほうの無伴奏チェロ組曲をじっくり聴いてみたくて仕方なかったのだが、あいにくチェリストの名前がうろ覚えで探しあぐねていた。おそらくマイスキーではないかと思いつつ……。
運良く自伝を発見して、手にとって見たという次第。やはり、ほぼ間違いなくこの人だ。あとはCDを入手するだけ。

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