心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う (新書y) 心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う (新書y)
小沢 牧子 中島 浩籌

by G-Tools

今年の初読みは、露骨に社会派な本。
最初に断っておくと、この本、タイトルと内容が微妙にズレている。恐らくは、内容をずばりタイトルに持ってくると、引いてしまう人が多くなるからではないか。


内容を端的にまとめるとこんな感じ。
最近(といっても1980年代あたりから?)、国家主導で「心のケア」が教育の現場や職場に持ち込まれるようになった。それは個性を尊重するといいながら、実は国民を精神面で管理するための策略である。という具合。
その実例として、「心のノート」が取り上げられている。これは子どもたちに国家神道への帰依を促すために国が半ば強制的に教育機関へ配布したもので、ただし、露骨に目的を表すと反発を受けるので心理学的手法を使って、より抵抗の少ない穏便な表現で書かれているという。
「心のノート」の低学年用は、息子の持っていたのを実際に見たことがある。多少は使用の痕跡があったが、おおかたは白紙で、実際は教師が口頭で説明し、質問には子どもたちが手を上げてその場で答えるという具合だったのではと想像する。
目を通してみた感想は「へぇー、今じゃこんな教材を使うんだ」ぐらいのものだった。ただ、きれいごとばっかり並べてあって、なんか嘘っぽさというか、胡散臭さを感じたのも事実だ。こんなことで本当の「心の教育」なんかできるんかい? みたいな。ないよりマシだとは思うけど。
この本、他にも国家権力と心理学者の結びつきなど、結構過激なことが書いてあるので教養書としてはどうかと思うが、世の中を常識とは違う側面で見るきっかけにはなるし、何より物語を創る際のネタにはなる。うん、ネタとしてみればかなり面白い。
ここから先は個人的な覚書ということで。
子どもたちに国家神道への帰依を促す動きと聞いて、まっさきに思い出したのが「水の精霊」に登場する黒幕、伴智俊。物語中で、彼は神道に根ざした宗教観を子どもたちに植え付けることにより、日本を再生させるという「光の子計画」を発動させようと裏で糸を引いていたのだった。結局それは挫折することになるのだが。もしかして、「水の精霊」って、フィクションに見せかけて実は……? 伴のモデルって実在する?

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