4251066553 サラシナ (グリーンフィールド)
芝田 勝茂
あかね書房 2001-09

by G-Tools

舞台は奈良時代、更級日記で語られている伝説をもとにした、お姫様と衛士の思いっきりロマンチックな恋話。といっても、ただの身分違いの恋ではなく、ちゃんとひねりが入っている。
詳細は割愛するが、現代の女の子がタイムスリップしてしまうのだ。身分違い以前に年の差1000年以上?


物語の舞台は古代日本。暮らし振りや風景はずい分違うが、昔も今も人の世の基本は変わらないのだなぁと思う。権力を持つ者が、その地位を保持しようと醜い立ち回りを演じるのは相変わらずだし、権力の中にいながらその醜さに反発する人間もいる。強者から搾取されるばかりでなく、自分たちの暮らしを自分たちで守ろうとする人々がいる。
ストーリーは無駄な細部描写を省いてサクサク進むので、非常に読みやすかったし、キャラ達の心の動きがよく見える。
話の中心となる、不破麻呂と竹姫のカップルは、どんな事情があるにせよ、「あま~い!」を連発したくなるような仲のよさ。彼らの会話、大好きです。
特に冒頭近く、最初の出会いの歌垣もどきのやりとりは最高。
でも、主人公カップルより胸を打たれたのは、「宮子さま」こと、藤原宮子(竹姫の祖母にあたる。物語の中では皇太后の立場)が背負っていた物語。権力(あるいは運命?)の残酷さと、それに抗おうとして自分の時を止めてしまった思いの激しさが切なくてしかたなかった。

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