4477019076 月下花伝―時の橋を駆けて
越水 利江子
大日本図書 2007-04

by G-Tools

これは↓の「花天新選組」と対になっている物語。現代世界がベースになっていて、新選組は映画の中の世界、という設定。この2作品は完全な続きものではなく、2つで1セットというのがミソ。どこでどうつながっているかを発見したときは、スッキリ!
自分の場合は出版されたのと逆順で読んでしまったけれど、やはり月下花伝を先に読むのがおすすめ。その方が物語世界の全体像がわかりやすいので。
ちなみに「花天~」で疑問だったあれこれは「月下~」を読むことで見事に氷解した。
またまたネタばれが激しいのでこの先は折りたたみます。


「花天新撰組」を読み終えたあとの
疑問のその1
現代世界で秋飛はどんな少女だったのか。そしてどんな生活を送っていたのか。
→「月下」では現代世界での秋飛の生活を中心に描かれているのですっきりクリア。祖父を亡くし、孤独にひたる秋飛の心の動きがリアルに伝わってきただけでなく、撮影所の舞台裏がのぞけてとても面白かった。
疑問その2
新撰組は何のために、なぜ時勢に反して最後まで戦いぬいて死ぬ道を選んだのか。しかも節操を曲げてでも生き延びた人々が圧倒的に多かった中で。
→「月下」の中で、同じ疑問を秋飛が持ち、それを沖田にぶつけている。沖田は実に明快にわかりやすく答えた。「自分が信じる誠の心に恥じないように生きるだけなんだ」と。
ここで沖田がいう「誠の心」とは、誰かに対する忠誠ではない。キリスト教で言うところの愛、ギリシャの哲学者たちが追い求めた真実、もっと平たく言えば後ろめたいことをした時に痛みを感じる良心に近いものだと思う。
ああそうか、と最後まで読み終えたときに思った。「風のラヴソング」と同じメッセージがこの物語の底に流れている。
生きるっていうのは、戦い続けるということで、それは人によっては剣を振るい続けることだったり、女優としての道を自ら切り開くことだったり、いろいろあるけど、自分の置かれた状況、あるいは選びとった状況で最善を尽くせ、ということなんだな。

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