4062693712 NO.6(#5) (YA! ENTERTAINMENT)
影山 徹 北村 崇
講談社 2006-09-12

by G-Tools

やっぱり面白い! この物語世界の空気は肌に馴染むというか、すっと入ってゆける。
すべてが管理下におかれ、不幸な生活などありえないとされる聖都市・No6と、聖都市に隣接しながら、地べたに張り付くようにして生きる人々が住まうスラム街・西ブロックの対比。本当にありがちな設定なんだけど、清々しいほどにくっきり明暗が書き分けられている。
誰もが生るためなら何だってするし、他人の面倒なんかみていられない西ブロック。衣食住の不安はなくとも、生活のすべてを管理され、想像力は排除の対象となる都市の生活。都市の人間は西ブロックの住人を人間として認めることさえしないし、外の生活に思いをはせることもしない。


両方の世界が徹底的に書き分けられることで浮かび上がってくるのは、人が生きるというのはどういうことか、何が本当に幸福で何が不幸なのか、という本質的な問いかけ。
作者はキャラクターの口を借りて何度も何度も、真に生きるはどういうことかと問い掛けてくる。
キャラクターといえば、複雑で微妙な人間関係も魅力的。紫苑とネズミの深い絆は本編を読んで味わってもらうほかはないとして、西ブロックの人間は誰もが腹に一物抱えているし、都市の中の人間は盗聴を恐れ、自由に腹を割った話ができない。それでも人と人はどうにかしてつながろうとする。そこが面白い。
物語の流れとしては、西ブロックでネズミと暮らし始めた紫苑が、幼なじみの沙布が「矯正施設(=収容所)」に収監されたと知り、彼女を助けに行こうと決心して、ネズミとともに施設に忍び込むまで。それと時を同じくして都市の内部でも異変が始まる。
いやもう、矯正施設の設定が凄まじいのなんのって。関係者以外入所は不可能。入れるとすれば、都市内で犯罪を犯して捕まるか、西ブロック対象に行われる「人狩り」の時だけ。そうやって施設内に入った人間は二度と出られない。(人狩りというのはもちろんアレです。ホロコーストです)
狩られた人々がどうなるかの描写も半端じゃない。だから♯5だけは食後に読むものじゃない。
紫苑とネズミはそんな中から沙布を助け出して生きて戻らなくてはいけない。
彼らが潜入に成功し、ネズミが何らかの地下組織と接触したところで♯5は終わる。次巻はいよいよ救出……ではなく、都市の過去が語られるらしい。

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