4125009864 フラッタ・リンツ・ライフ (C・Novels BIBLIOTHEQUE 84-4)
森 博嗣
中央公論新社 2007-05

by G-Tools

スカイクロラシリーズ4冊目。キルドレの秘密が解き明かされつつあって、それに絡むサスペンス要素が出てくるので、読むスピードが自然と上がる。筋を追うのに夢中になりすぎ、うっかり大切な言葉を読み過ごさないようにと気を遣わなくてはいけなかったほど。
これまでの4冊の中では、これが一番空への憧れが切なく描かれていたと思う。加えて、地上の世界で善とされるものを徹底的に否定する、その激しさも一番強い。この世の偽善を見破る、あるいは見破ったつもりになれるのは若さの特権だ。


実はここにきて語り手がまたまた変わる。今度はカンナミが来る直前まで基地にいたというクリタの視点で話が進む。体温的にはカンナミとクサナギの中間てところかな。形容詞的には「温かい」がぴったり。フーコが本気で思いを寄せるのもわかるな。
クリタの腕前は決して悪くはないが、今や伝説のエースとなりつつあるクサナギや、彼女に匹敵する力量を持つカンナミに比べると、やはり凡庸だ。だから飛行機のトラブルで道路に不時着したり、撃たれて野原にほとんど落ちる格好で不時着したりと、どちらかというとへたれなエピソードが多い。
でもその分、空への憧れは切ないほどに強烈だし、地上での活躍ぶりはなかなかのもの。
娼婦を本気にさせ、キルドレについて重大な情報を発見した科学者をこっそり逃がし、上司クサナギを暗殺から守る。
うん、なかなかいいね。
彼は5巻目でも主人公だそうで、続きが楽しみだ。

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