4062147386 狩猟と編み籠 対称性人類学2 (芸術人類学叢書 1)
中沢 新一
講談社 2008-05-31

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図書館の新刊コーナーで目について、パラパラとめくってみれば「映画と宗教は同じ構造を持っている」とあって、俄然興味をひかれた。
中身は想像以上の面白さ。宗教(神と言い換えてもいい)をこんなに分かりやすく学問的な手法で説明できるのかと驚くばかりだった。
タイトルはエイゼンシュテイン(「戦艦ポチョムキン」の映画監督)の著書から採られている。「編み籠」はモチーフをいくつもつなげて統一された全体を編み上げる人間の本能を指し、「狩猟」は全体の中のモチーフの線を追跡することに喜びを見つけるというもうひとつの本能を指しており、この二つの本能を生き生きと呼び覚ます芸術が人の魂を揺さぶる。


現在地球上に生息している人類=ホモ・サピエンスは、旧石器時代に脳内で大革命を起こしたという。「流動的知性」(創造的な知性)と呼ばれるものを手に入れ、思考能力が飛躍的に発達した。
宗教はその「流動的知性」と深く関わっていて、はじまりの宗教は洞窟内での儀式だった。洞窟の暗闇の中で自らのうちに潜む「流動的知性」を見る儀式だったらしい。
「流動的知性」は抽象的な形をしているが、それが動物の形(イメージ)をとったりさらにはそうやって生まれた動物(イメージ)たちが物語を作り出すことによって宗教と芸術が発生した。
映画は、やはり暗い劇場内でイメージが動き回るのを見、物語を感じ取る芸術で、宗教とよく似た構造をしている。
……という話に始まり、時に映画作品(含むアニメ)の解説を入れながら宗教の構造や芸術の秘密を解き明かす方向に話は進む。
読みながら、どうして抽象画が面白いのか、クラシック音楽に奥深い魅力があるのか非常に納得したのだった。

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