4652077874 一億百万光年先に住むウサギ
那須田 淳
理論社 2006-09

by G-Tools

今年の読み初めはこれ。実は昨夏の読書感想文指定図書(中学生向け)。
中学生を主人公にした純文系の物語ってどうなんだろうと思って読んでみた。


うーん、文体はほとんど一般向けのものと変わらなくて、ただ主人公の年齢だけ下げてみました、という感じ。主人公は中三の男の子で、彼の一人称語りで話は進むが、視点や感性は大人のそれとほとんど変わりがない。
内容としては、近所の便利屋でバイトする翔太を中心に展開する人間模様。クラスメイトが窃盗の濡れ衣を着せられたり、便利屋がベビーシッターを派遣した先で子どもが行方不明になったり、と小さな事件を積み重ねて話は進む。
物語の軸は翔太と、便利屋の娘で翔太の同級生であるケイの恋模様。そこへケイの出生の秘密が絡んでくる。結果から言えば、ケイの親世代で恋の鞘当てがいろいろあり、すっきり解決しないままだったために、彼女が自分の本当の親って誰だろうと悩み、ついには実の父を求めて家出し、大騒ぎを引き起こすというちょっと吉本風人情話が入ってるかなーという展開。最後はちゃんと恋が実り大団円に落ち着くところまでそっくり。
面白くないことはないんだけど(うー、歯切れが悪い)、恋する相手が出生の秘密を求めて家出するという、あまりにありがちなネタを、鎌倉という土地の魅力とジャズの力を利用して美味しい料理に仕立てようとしている気がした。果たして、自分が中学生だったら面白く読めたんだろうか。
唯一興味をひかれたのが、ドイツに伝わるという恋樹(こいのき)伝説と「星磨きウサギ」の話中話。これは独立した話としてそれだけで面白かった。

広告