ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫) ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)
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朝、子どもたちを送り出して、家事にとりかかる前に少しだけ読もうと思って気づいたら最後の解説にたどりついていた。おかげで洗濯物が夕方までに乾かない(>_<)
内容は、幽霊と怪奇現象をひたすら追い求める女子高生と、彼女のクラスメート&幼なじみで両親からの虐待を受け続けている男の子の話。この二人の恋愛というか絆を描きつつ、それと重なるようにして、人それぞれの「非日常」についてうんちくを傾けているところが興味深い。
裏表紙には「ホラー」と紹介されているけれど、「嘘つきまーくん~」に比べたら全然恐ろしさが少ない。むしろちょっとしたファンタジーだと思ったほうがいいかも。


これが高校生が書いたという話なので、確かに凄いと思うし、良くも悪くも納得できる。特に青臭さと、生活感の無さと、視点にややひとりよがりな傾向があるところが。
でも、そんなのは全然重要ではなく、この話のキモは「魂が〈非日常〉に侵食される恐怖」が描かれていることにあるんじゃないかと思っている。
その〈非日常〉とは、ちーちゃんにとっては幽霊であり、悠人にとってはひたすら暴力をふるう両親であり、文学少女&リスカーの林田にとっては本の中の世界だ。ちーちゃんと林田はつまらない日常を嫌い、非日常の世界に憧れるあまり魂がこの世から離脱しそうになり、悠人は日常に執着するあまり、林田の警告を理解するどころか、一番親しいちーちゃんがうっとりと語る幽霊世界への憧憬に理解を示せず、彼女を失いかける。
ちーちゃんの語る幽霊世界は、この世の科学や法則では捕らえきれないけれど確かに存在するらしい何かの総称と見ていいし、悠人が遭遇する家庭内暴力は、これまた理不尽・不条理な運命の暴力の代表になっている。(それらの表現が舌足らずだとしても)
文学が根本的に追い求めているこの二つのテーマに直接切り込んでいこうといしているのがわかるので、軽い文体にもかかわらず面白さを感じたらしい。

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