4265072194 鬼にて候 3 (YA!フロンティア 19)
橋 賢亀
岩崎書店 2009-03-14

by G-Tools

このシリーズ、加速度がついて面白くなる。男性陣が尻拭いにまわっていた1作目や2作目と違い、本作では「鬼」こと保と父がうまく女性陣のサポート役にまわっていて、「うん、男だねぇ」とにやりとしてましまった。
もっとも、保っちゃんは、どんなに頑張ってもまだまだへたれ少年。でもそこが可愛い♪ へたれだけど重いものを背負わなくてはいけない血筋なところがいい。
そしてお楽しみのバトルシーン。戦う相手は毎回すごい強敵だけども、それぞれパターンが変わって楽しめる。ただし敵は変わっても変わらないのは怨念を生み出す人間の業。
今回の怨念は特に痛かった(>_<) 思いやりとか優しさとか責任感など、世間一般では是とされる行為がどんどん人を追い込んでいく残酷さがねぇ……。
ぜんっぜん関係のない場所から引っ張ってきた記事だけど、コトの本質は同じかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/nomuch/20090602/1243933017
(「能町みね子のふつう日記」より・小学生残酷物語)


また、主人公である保(たもつ)くんより、今回はヒロインの静香ちゃんの成長がまぶしくて。巫女を目指し、自ら重いものを背負おうとして頑張る姿がもすごくけなげ。それはまるで「水の精霊」のヒロイン、みずきにも似ていて胸が詰まりそうになる。やや長いけれど、肝となる台詞を引用してみる。

 小千代ばあちゃんがふうっと長い息をついた。
「祈祷巫女になるということは、こういうことだ。静香ちゃん。これから、あんたが女になっていけばいくほど、さらにつらい思いを積み重ねてゆく。人を想う気持ちがあればこそできるし、しかしけっして女としての思いを遂げてはならない。徹頭徹尾、相手の幸せだけを願い、祈祷するのだ。できるかな? ようく考えてみなさい」
 静香はうなずきもせず、また首を横にふることもせず、じっと夜の町のほうを見つめていた。

横山作品の中で「鬼にて~」の世界しか知らない小さな読者たちには、小千代ばあちゃんがいったい何を言いたいのかピンと来ないと思う。でもその子たちが大きくなって、偶然でもいいから「水の精霊」を読むことがあれば、きっと「そういうことだったのか!」とわかってくれるんじゃないかなぁと希望する。

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