4344980875 鬱の力 (幻冬舎新書)
幻冬舎 2008-06

by G-Tools

この数年、あたかも流行のように「うつ」が増えていて、どうしてなんだろうと気になっていた。
社会情勢とか、若者の育ち方とか、いろいろな原因が挙げられているけれど、五木寛之氏は、時代そのものが「うつ」の時勢なのだと見ている。ああ、なるほどなぁと思った。
目からウロコだったのは、「鬱」という字はエネルギーがこもっているという意味であること。はけ口を失ったエネルギーが容れ物の中を右往左往している感じ。だから、本来「うつ」になる人は相応のエネルギーを持っているはずで、本当に無気力な人は「うつ」にさえならない。
人生の中で壁にぶたあたったりしたときに鬱々とするのはごく自然な反応で、病院に駆け込むようなことではないという。これは激しく同感。ムリに治しちゃイカン「うつ」もあるということだ。
有名な話だとおもうけど、作曲家のマーラーが当時すでに有名だった精神科医フロイトのところへ治療に行ったら「あなたの分裂症は治療可能だが、治してしまうと作曲ができなくなるだろう」と告げられ、治療をやめたという。(もちろんうつと分裂症は違う病気だけど)
19世末のヨーロッパを考えてみると、まさに鬱の時代だったんじゃないだろうかという気がする。

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