4829118032 鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)
富士見書房 2006-03

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レギオスというのは歩く都市。自律型都市で人のように心を持っている。人が生きてゆけないほどに汚染された大地の上、汚染獣をよけながら歩き続け、ゆりかごのように人類を守っている。
たいていの人間は生まれ育ったレギオスを離れることなく一生を終えるが、中にはそこを離れなくてはならない人々もいる。
史上最年少で天剣授受者となった少年レイフォンもその一人。事情があって天剣を失った彼は戦いに身を置く武芸者として生きることをやめ、学園都市で自分探しを始めるが、世の中そんなに甘くない。否応なしに戦闘の場へ引きずり出されてゆく。


こんなぐだぐだ(優柔不断)な主人公は初めて見た。本気で戦えば最強の戦士だけども、彼なりのこだわりがあってもう戦いたくない。それがぐだぐだの元凶なのだけど、それにしても煮え切らない奴だ。
その彼が友人たちに叱咤激励されつつ、過去の過ちを彼なりに受け入れ精算し、大切なものを守るために再び本気で剣を取るまでの話。
自分探しや夢探しにエネルギーを費やす現代の若者の姿とだぶってしかたない。
興味深いのは、主人公の魅力のなさと反比例するかのような世界設定の面白さ。歩く都市、レギウスを中心として、レギウス同士を移動するための放浪バス(移動には週単位で時間がかかる)、レギウスの心を象徴する電子精霊、戦士=武芸人が扱う武器や「気」の一種である「剄(けい)」など、その辺では見かけないユニークな設定がなされている。
これで主人公のヘタレが何とかなればぐっと面白いライトノベルになるのだろうが、簡単にヘタレを直すと後が続かなくなるのかもしれない(苦笑)。ちなみに現在このシリーズは本編だけで14巻、外伝なども含めるとかなりの冊数が出ているはず。私的には主人公の活躍や恋模様うんぬんよりも、レギウスが成立する過程を知りたい。

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