409451001X 人類は衰退しました (ガガガ文庫)
田中ロミオ
小学館 2007-05-24

by G-Tools

とあるBOOK○FFの書棚で妙なYAを見つけました。
題名にひかれて中を開いてみると、中は何ともまったりした妖精さんの平和な世界。××文庫とか×××文庫にありがちなバトルシーンや恋愛すったもんだのシーンはかけらも匂ってきません。そのかわり甘いお菓子のにおいと容赦なく退化してしまった人間世界のにおいが漂ってきます。その中にわずかに学舎のややかび臭いにおいがまじっているのが救い?かも。
作者の狙い通り(?)YAの定石をはずしまくっている、ある意味果敢な挑戦作だと思う。


バトルと恋愛のかわりに話を牽引してゆくのが「現生人類」こと「妖精」さんのナゾ。彼らの生態を追う少女の記録、という形でストーリーは進む。だから妖精の設定がうまくいくかどうかが成否の分かれ目なんだろうと思う。1巻ではまあまあOKかな。なにしろ妖精が「人間の進化ごっこ」を始めてしまって、観察者たる少女は学んだ知識を生かして文化人類学的考察に挑むのだから。おっとりした語り口の中に実は恐い考察が隠れていたりする。
妖精という存在を通して、このまままったりした語り口で人類の本質をあぶり出すことに成功できたらすごいんだけどな。たぶん、2巻も買ってしまうに違いない。人類がなぜ衰退して妖精さんたちに主役の座を明け渡したのか、そのナゾが知りたい。そりゃまあ、自分で自分の首を絞めたことは想像に難くないけど作者はそのへんをどうやって料理するのだろう。

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