4062127393 ふしぎな図書館
村上春樹 佐々木 マキ
講談社 2005-02-08

by G-Tools

装丁がとても素敵。箱入りで、しかもオレンジの表紙は分厚くふかふか。どこの世界文学全集かと見間違えるほどに無駄な高級感。こういう遊びは力のある人にしかできないなぁ。すごく楽しいから今後も時々やって欲しいけど。
物語そのものは、初期の短編集「カンガルー日和」に収められていた「図書館奇譚」が絵本としてリライトされたもの。この体裁での発行は2005年だけども、話そのものが最初に世に出たのは1983年ということになる。
どうりで中古本屋で発見してすぐ、予備知識無しで目を通したときに「この文体古いな」と感じたわけだ。羊男、図書館、謎の綺麗な女の子、「404」というホテルくさい部屋番号など、独特のアイテムが登場したり、主人公が理不尽な暴力の罠にはまってにっちもさっちも行かなくなる展開、ラストですべてを失って人生の初期化をされてしまうことなどなど、初期の村上ワールド全開。
もちろん、昔から村上ワールドは好きですが、ねじ巻き鳥クロニクルあたりから(いや、実はダンス・ダンス・ダンスから?)喪失から再生へと見事に舵を切った村上ワールドを知っているので、今となってはすべてが古い記号に見える。古き良き80年代の一側面。
もし羊男くんが気に入ったなら、「羊男のクリスマス」は超おすすめ。これは時代の匂いなど関係なく、純粋に絵本として大人も子どもも楽しめます。

広告