4776400359 ニコルの塔
小森 香折
BL出版 2003-11

by G-Tools

作者あとがきによれば、この物語が生まれるきっかけは、レメディオス・バロという画家の絵だったそうです。
塔へ向かう」「地球のマントに刺繍して」「逃亡」の三部作。
これは絵の世界で繰り広げられる少女たちの物語。


設定をまるっと実在の絵から借りてくるなんてずるい!と思わないでもないが、和歌で言う「本歌取り」の技法なのだと思えば、その道の傑作だと思う。
この物語の中心となるイメージは舞台となる修道院で唱えられる次の祈祷句に集約されている。
「すべてを受け入れよ
 疑問を抱くのをやめよ。
 考えるよりしたがうことが、
 わたしたちのつとめ」
なんて意味深な「祈祷句」なのだろう。
リアルな世界でも私たちは自分にこの呪文を言い聞かせてないだろうか。しかも無意識のうちに。
主人公のニコルは、疑問を抱き自分の頭で考えることによって偽りの閉ざされた世界を解放し、自らをも解放する。お約束過ぎる物語展開だけども、それに独特の味付けをしているのが、バロの不思議な世界観なのだ。

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