4776402122 みどパン協走曲
黒田 六彦 長谷川 義史
BL出版 2007-01

by G-Tools

伴走者をつとめた小学生男子の話。そういえば、この本が出た当初、話題になった記憶がある。
伴走者というのは、マラソンなどのロードレースで視覚障害者をサポートする走者のこと。
一本の白いロープでつながる瞬平太と拓斗。二人の間には、反発→衝突→共感・相互理解という具合に、男臭い友情がたっぷり。


瞬平太は小五のお寺の子。父は調理師→住職となり、母は海洋学者として魚類の研究に勤しみ、なかなか家に帰って来れない日々。まだまだ元気な祖母が家事を仕切る。
そこに転がり込んできた拓斗。彼は母親から虐待を受け、交通事故で両目を失明したのちに、離婚によって父側の実家に預けられるも、日がな一日部屋で丸くなって過ごす日々だったのを、瞬平太父が預かった。
拓斗に生きる力を取り戻させるため、瞬平太父は、彼を走らせることにした。もともと拓斗はサッカーが得意だった上、前年に出場した市のロードレース大会では三位入賞。能力的には何も問題ない。が、視覚を失っているのでガイドが必要となる。そこで、やはりサッカー部で活躍中だった息子の瞬平太に有無を言わせずその役をやらせることになる。
それまでサッカー部は休部、拓斗はすねてばかりでろくに話もできない、という具合で、瞬平太にとってはもう災難が降りかかってきたとしか思えない。
ここから先はほぼお約束通りの展開で、罵り合いあり、殴り合いあり、拓斗の双子の兄、悠斗の嫌がらせありで、小さな事件を積み上げながら拓斗と瞬平太が心を通わせていく過程が書かれている。
というか、それだけです。
二人の言動を描写する中に、生きることの苦しみや悲しみも詰めこまれているので、それ以上のことを書く必要がない。
主人公の瞬平太くんの口調や考察が、非実在小学生(こどもの皮を被った大人)だったけど、それは突っ込んではいけないと思った。拓斗がリアルに描けてさえいれば、多少のことには目をつむってよいのではないか。文学作品の場合、何でも実物そっくりであればいいというものじゃないのだから。

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