4834025772 どろんころんど (ボクラノSFシリーズ)
北野勇作 鈴木志保
福音館書店 2010-08-04

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こりゃまた変なモノを読んでしまったなぁ、というのが最初の感想。
まるで初期の村上春樹を読んでいるようなノリで、不思議世界の中をするすると探検できるが、最後までたどりつくと、「結局何が言いたいんだよ〜」と本の裏表紙にパンチを食らわせたくなる。
いえ、決してけなしているわけではなく面白いんですよ。特に自分が中高生だったなら。
泥の上澄みをすくうみたいに内容をさらりと紹介したいのだけど、下手に書くと致命的なネタバレをしてしまうので難しいな。でも挑戦。


舞台は未来の、青くない地球。海と大陸が泥で覆われた世界ということになっている。あらゆるものが泥から生まれ泥に還るという世界。
その中を、長い休眠から目覚めた少女型アンドロイドと、子守り用に特化した亀型ロボットが探検してゆく。案内役は「ヒトデナシ」という人を食ったような生き物。見かけは人のなり損ないで、しゃべる内容も微妙にズレているというか、まともな人間からしてみれば「人を食ったような」発言ばかりしている面白い奴。でも、ちょっと冷静になって振り返れば、ヒトデナシを笑い飛ばすことは、自分を笑い飛ばしているのと同じだと気づく。
また、ヒトデナシたちが人間の真似をして作った町や交通機関がこれまたズレまくりで唖然とするしかなく、それでいて、実は最初からものごとはすべていい加減でズレているのかもしれないと思わされるところが楽しい。ありがちな言葉を使うなら、現状認識/常識が解体されてゆく快感、てところ。
どうして地球が泥だらけの世界になってしまったか、という種明かしについてはぜひ本書で確かめて欲しい。私にとっては充分予想できる範囲だったので、あまり新鮮な驚きはなかったけど。だってまるでEva…(強制終了)

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