4062693933 ボーイズ・イン・ブラック(3) 《となりのミステリーサークル》 (YA!ENTERTAINMENT)
後藤 みわこ 亜沙美
講談社 2008-04-11

by G-Tools

お楽しみ(?)であるタケルとしのぶの絡みがどんどん増えてきて、「腐女子スターズ」といっしょに歌ってもいいですか? みたいなシーンがたくさんあって美味しかったです。
主人公タケルの周辺でミステリーサークルが次々に現れる事件が発生。しかもタケルのクラスメートが作った偽サークルと、本物のエイリアンが作った正規(?)のサークルがあるからややこしい。いや、面白い。
おぞましい姿形のエイリアンに襲われるピンチや、クラスメートとのすったもんだを乗り越えて無事に事件が解決し、これで3巻もめでたしめでたしかと思いきや、なんとタケルの出生の秘密が明らかに……!と思ったところで「つづく」。そんなぁ〜。
さて、今回のキーワードは「宇宙一孤独なやつは誰だ」
タケルは、自分の過去を振り返ったり、しのぶの境遇を思ったりして、どっちがより孤独か心の中で競わせてしまう。しかし、上には上がいた。
気の遠くなるような寿命を持つ「トカゲ型エイリアン」の孤独。
しかし、彼(彼女かもしれない)は、地球上のとある生命体(トカゲそっくり?)と深い絆を持っていて、それが今回の騒動の原因になっていた。
深い絆――性別どころか種族の違い、生まれついた星の違いを乗り越えて惹かれ合う二つの存在があるということ。その奇跡を、しのぶはこう表現している。

「委員長(=トカゲ型エイリアン・しのぶのかつての上司)がこんな意味のことを言ったんだ。特別な存在を見つけることができた者は孤独ではないと。いつか失い、触れあうことも語りあうこともできなくなるけれど、見つけて、心に抱きつづけるかぎり、その後の長い人生も孤独ではないのだって」(P202より)

4062694050 ボーイズ・イン・ブラック(4) 《雨が上がれば……》 (YA!ENTERTAINMENT)
後藤 みわこ 亜沙美
講談社 2008-11-11

by G-Tools

広げた風呂敷をたたむための最終巻。いよいよしのぶが宇宙へ帰る時がやってくる。
すべての伏線を回収し、人間関係に決着をつけるこのたたみ方は、本当に神業的でほれぼれとしてしまいました。
雨が少ないことで有名な小夢野町で、一ヶ月も雨が降り続く異常事態が発生。それにともない、日光のもとでは生きられない蝶型の宇宙生物がいつの間にか町に捨てられていて、おまけにその生物は爆発的な速度で増殖する能力を有し、ついには星ひとつを潰す力を持つという危機。ただし、その危機はしのぶの関係者しか知らない。
そして、別れの時は確実にやってくる。ミッションを終えたしのぶは宇宙へ戻らなくてはいけない。戻ったらしのぶの記憶はなくなる。タケルと過ごした日々のこと、その時に感じた感情の記憶はなくなってしまう。
だからしのぶは、タケルに一緒に宇宙へ来ないかと誘った。でもタケルは迷いつつ、ひとつの確信を抱いていた。もし、将来しのぶと再会することがあったなら、たとえ記憶がなくても、きっと同じように惹かれ合うだろうという確信。
これは「特別な存在を見つけることができた者は孤独ではない」という3巻のテーマとも共通する。3巻だけじゃないな。このシリーズ全体がタケルとしのぶが各々の孤独から抜け出し、ついには唯一無二の存在を見つける、という話だ。二人のつながりは、肉体に振り回されがちな色恋とは違う種類のつながりなのだと思われる。
なんていうのかな、若い男の子が、若い女性の身体に惹かれるのは、本能というか、自然の働きというか、DNAに刻まれている情報のなせるわざだったりするわけで、タケルがしのぶを見て「きれいだ」と思う場合は、本能以外の何かがそう思わせているのではないか。しのぶの見た目が男子中学生であるという以前に地球人ではない。二人がくっついたところで子孫が増えるわけでもない。
この二人の関係は確かにBL風味が混じっていて、それがお楽しみの一つでもあるのだけど、実はもっと普遍的な宇宙規模の絆があってもいいじゃないですか、という話をしてる。だからことさらに二人の関係が切なくてロマンチックなんだろうな。

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