0571236197 Flying for Frankie
Pauline Fisk
Faber Children’s Books 2009-04-02

by G-Tools

フランキーが最も望むこと、それは幼い日に夢で見たように、空を飛ぶことだった。癌にかかってからというもの、その望みは彼女の中で生への憧れと同化し、どんどん強くなる。彼女にとって空を飛ぶことと幸福感はつながっているから。
フランキーはその実現を親友のカリスに託す。しかし、そんなことを託されても、カリスはごく普通の家庭に育つ内気な少女。潤沢な資金があるわけでも魔法が使えるわけでもない。それでもカリスは親友のフランキーのため、無謀に思える計画を実現するため、奔走する。これまでそうしてきたように。


イギリス南部、ダートマスという風光明媚な田舎町でカリスとフランキーは生まれ育った。ごく普通の家庭に育ち、特に取り柄もないカリスと、お金持ちで贅沢な生活を当然のように享受してきたフランキー。本来なら交わるはずのない二人は、ひょんなことで出会い、互いに引き寄せられる。
「ひょんなこと」と言っても、劇的な事件があったわけではない。カリスが古城の下の浜辺にこっそり作った隠れ家を、ボートで海に出ていたフランキーが見つけ、カリスの目の前で勝手にあちこちかぎ回った挙げ句、これまたカリスの意志を無視して改造を始めたのが始まりだ。ケンカになるはずが、気付いたら仲良くしゃべっていた。
もとからタイプの違う二人は、ケンカと仲直りを繰り返しながら友情を深めてきた。家庭環境の違い、階級の違いなど関係ない。でも、ある時突然、癌という病が立ちはだかる。治療を受けつつもフランキーは、最初はゆっくりと、やがて加速度的にスピードを上げて生命力を失ってゆく。それを手をこまねいて見ているしかないのか、何かできることはないのか。放って置いたら、二人の人生は互いに違う方へと走り出し、二度と黄金の日々は戻らない。カリスは心の底から悩み、考え、時には神にすがる。
フランキーに「飛んで」もらいたい、二人を隔てる環境・感情両面の溝を埋めたい、変化に対する恐怖心を乗り越えたい。そしてカリスが熱心に取り組めば取り組むほど、その努力は裏目に出て状況を悪くするばかり。あまりに情けなくて悲しくて笑うしかないほどだ。
しかし、カリスの試みがどれほど失敗に終わろうと、その行為の一つ一つが鋼を打つ槌のように、友情を、二人の魂を鍛え上げてゆく。フランキーといっしょに「飛んだ」とき、カリスは初めてそのことに気付く。同時に、同じことをフランキーも感じているだろうと、カリスは確信できたのだった。

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