4047272329 テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)
ヤマザキマリ
エンターブレイン 2011-04-23by G-Tools

以前から話題になっていたので、一度は読みたいと思っていたら、1〜3巻までそろってレンタルコミックの棚に並んでいるのを発見。人気度No1の場所にあった。絵柄は地味に見えて実はデッサン力はものすごい高い。質実剛健を好むローマ人そのものかと。

ローマ帝国はハドリアヌス帝の時代(西暦120年前後)、浴場技師のルシウスが、「斬新な」浴場を作ってはヒットさせてしまうという話。彼のインスピレーションの源はなぜか現代日本。というのも彼はアイデアに詰まるとなぜか水のあるところで溺れる羽目になり、すると現代日本にタイムスリップしてしまうという不思議体質なのだった。

だからといってルシウスが不思議ちゃんというわけではなく、勤勉実直なごく普通のローマ市民。皇帝から無理難題をふっかけられても「ローマのために」と緊張性腸炎と闘いながら仕事のアイデアを探し求めるさまは、むしろローマ市民の鑑。

一種の才能とも言える不思議体質のおかげでルシウスは浴場を次々とヒットさせ、あっと言う間に皇帝お抱えの技師となる。しかし、そのおかげで妻に逃げられるわ、元老院に命を狙われるわ、成金市民に趣味の悪い仕事を依頼されるわで、平穏とはかけ離れた生活。

しかし、他人の波乱万丈ほど見ていて面白いものはない。現代日本にいる読者はハドリアヌス時代のローマ帝国へタイムスリップをしてローマ人の風呂ライフを覗き見る。

ローマ・ギリシャ文明といえばヨーロッパの基礎だけども、キリスト教に侵食される前のローマはむしろ現代日本の文化との方が親和性が高いらしいと気付かされた。海の幸山の幸に恵まれた食文化、快楽志向、多神教、そして風呂への愛着。

日頃から当たり前のように湯船につかっては一日の疲れを落とし、時には温泉でゆっくり心身の疲れを癒してくる。日本人にとっては当たり前すぎて、風呂文化の豊かさには気づかなかったけど、実はお風呂って一国の平和を左右するほど奥深いものだったのかと目からウロコが落ちた。

イエスがもしも温泉を体験していたら、キリスト教の教義が変わったかもしれないな(え?)。

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