すっかり忍剣ワールドにはまった息子のために発売後すぐ入手しましたが、朝読書用として学校に持って行かれるとなかなか戻ってこないので、スキを見て先に読みきりました! それでわかったこと。ページ数の割に中身が濃いので、早く読むのには向いていません。じっくり腰を据えての読書を推奨します。

花百姫のいる鬼ヶ島、火海姫のいる玉風城、全国を転々とする霧矢、白鳥城の跡地で怪しげな魔術を使う美女郎など、各地でそれぞれの物語が同時進行し、なおかつ登場人物たちは出会ったかと思えば別れ、離れていたかと思えばすぐそばに現れたりして複雑にからみ合ってゆきます。それぞれの場面は、映像でも見ているかのように頭の中で再現されるのですが、それらをパズル絵のようにうまく統合するのが大変でした。息子は2巻の内容を理解するためか1巻を何度も読み直していた模様です。が、その作業のおかげで彼の脳内には忍剣ワールドが堅固に構築されてゆくことでしょう。

肝心の中身はというと、とにかく霧矢のカッコ良さ満載の巻でございました。そして花百姫の悲しい過去が明らかにされる巻でもあります。

霧矢と花百姫、どこでどうやって再会するのか、そのシーンを予測するのが楽しみでした。姫のピンチに駆けつける守り手の図、というのは鉄板だと思っていましたが、忍剣ワールドならではの場所と状況。
二人が再会したのは、この世とあの世のはざまにある「滑り筋」という特殊な空間です。死霊や禍々しきものたちの通り道であり、忍術を極めたものもまた近道として利用する隠された道です。

そこで魔の者に襲われていた姫の前に霧矢が姿を表し、ゾンビのような化物をなぎ倒しながら出口まで導くわけです。が、あと少しで出口というとき、霧矢が盾となって大量の化物を防ぎ、姫だけを逃そうとします。すると姫はそれを断固拒否する。霧矢も一緒に来なくてはいけないと。しかし、それでは逃げ切れない。どうする、二人? というとき、姫が必殺技を発動させるのですね。これは天性の才能がそうさせたのですが、守られるはずの姫が守る側に回る。この逆転が鮮やかでした。

そして火海姫と小太郎。このコンビ良いですね。
こちらの姫様の母君は「薄日の方」といいますが、実際は「薄」日なんてとんでもない。姫の父君の昔語りによれば、薄日の方は魔道の敵に追われて玉風城まで逃げ延びてきたものの、魔の手から逃れること敵わず、火を操る忍剣士として壮絶な戦いのすえ秘宝とお腹の子を守って果てたといいます。その美しく強い気性を継いだ火海姫に、忠犬のように寄り添う小太郎がたまりません。

さらに、渋好みな人には、天外城における天外守部と霧矢の絶妙な腹の読み合いシーンをおすすめいたします。ジジとオジサンの対話にもえるなんてヘンですかね? いや同志は全国に散らばっているはず。

色とりどりの人間模様が楽しめるこの物語では、今後、さらに濃い忍剣たちが登場します。楽しいですよ。

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