これは天文学の入門書ではなく、星占い……というよりは人の心と星の配置の関係を読み解く本。
それぞれの星座には守り星、あるいはその星座を象徴する星(さそり座なら、アンタレスや冥王星)があって、その星が意味するものを丁寧に解説してゆく。

星占いとタロット占いには中学二年生の時にはまり、それ以来かれこれ○十年。
この本の著者、石井ゆかりさんはすでに人気の高い占星術家だけれど、たしかにこれほど納得できる占いに出会ったのは初めてなのだ。

例えばイヌの夜散歩の帰りに東の夜空を見る。するとひときわ明るく輝く星が目に付く。その星をみると自然と元気がわいてくる。あとで調べてみると、その星は木星であり、幸運をつかさどる星だという。
幸運を意味する星だから見上げると元気がわいてくるのか、あるいは見ると力づけられる気がするので幸運の星と呼び習わされるようになったのか。もっとも木星の場合は神話と関連して名付けられているからそのどちらでもないのだが、天空に対する畏敬の念はこの素朴な気持ちから始まっている。

太古の昔から人は自然現象に大いなる力の働きを見てきた。大いなる力はどの方向へどんな風に動いているのかを読み取ろうとし、あるいは人間とは無関係に動いている自然の事物に自らの願望を映しだしてみる。
星占いも同じ流れの中にあり、星の配置と地上の出来事には何らかの関連性があるという。星といってもいろんな種類がある。人間が星空恣意的に区分けして生まれた星座。日食や月食はもちろん、さまよえる惑星。それらの動きと地上の動きを重ねあわせてみる。そうすることで、人間は必ずしも自らの意志だけでは動いていないこと、世界をとりまく大きな流れのようなものがあること、を実感できる瞬間がある。それは科学の分野ではなく、叡智と呼ばれる分野の仕事なのだろう。

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