私にしては珍しい再読作品。というのも、先日参加した猫町倶楽部の課題図書だったからで、最初に読んだのは確か学生の頃。
その時の感想は、予想ほど悲惨な描写はなかったものの、極限における人間の行動や心のあり方に衝撃を受け、かといってどう自分の中で折り合いをつけたらいいものかわからず、人生における宿題を課された心持ちがした。

それから約20年経た現在、全く同じものを読むのもつまらないので、新たに出された新版を手にとったわけだが、確かにわかりやすい文体になっているものの、上澄みを綺麗にすくい取った印象で、作品としての重みは旧版の勝ち。でもだからこそ、手もとに置いて時々読み返したり、あるいは子どもたちの手の届くところに置くのは新版がいいと思っている。余計なものが少ない分、著者の述べたいことがまっすぐに目に飛び込んできて、さらにきちんと読めば、どれだけ非道い状況に彼らがいたのか確かに伝わってくるからだ。

そして宿題の解答はどうなったか。当然だが本書の違う場所にきちんと述べられていたのであるが、若かった自分の心には残らなかったらしい。あるいは真意が理解できなかったというべきか。

人生に意味を求めてはいけない。人生が何を要求してくるか、そしていかにその要求に応えるの積み重ねが生きる意味だということ。

神戸や東北の震災を生き延びた人たちの心の支えとなり得る本だし、実際、東北大地震の後にはよく売れたらしい。ただし、解放後の苦しみについての言及が少ないのが残念でならない。「解放されたけれどもその当時のつらさや苦しみを真に理解・共有してくれる人間がいない」苦しみは、震災を生き延びた人たちが現在抱いている苦しみと重なるからで、しかし、その苦しみに対処する方法も結局は上記の「解答」と本質的には同じなのだろう。だとすれば、どれほど残酷な問いを人生は問いかけてくるものなのか。それでも人は一瞬一瞬、その人なりの解答を示しつつ生きてゆかなくてはならないのだ。

広告