B00BHK7CIK 天の磐笛(第一巻)
横山 充男
藍象舎 2013-02-17

by G-Tools

この本は今のところ、kindleでしか扱いがなく、スマホやタブレットを持っていなければページを開くことすらかなわない。一昨年、無理してでもiphoneを手に入れておいてよかったと心から思った。それと同時にどうして紙の本で出ないのかかなり不思議。ターゲットとする読者層、つまり今時の中高生ならスマホぐらいは持っているだろうと思われたのだろうか。確かに紙の本よりはお値打ちなのだが、この本をぜひ読ませたい我が家の息子は、スマホどころかケイタイすら持っていない。
紙の本、早急にカモーン!

さてさて、内容の話をしよう。
文句なしに面白かった~! サブタイトルをつけるなら「呪術師のおい」がぴったりくるような設定。呪術を操るアヤシイ三十路男とその甥っ子(高校生)が活躍するのだから。
冗談はさておき、日本に昔から伝わる降霊術や呪術師によるバトルが相変わらず面白く、これは「水の精霊」と同じ世界。あるいは「鬼にて候」ともかぶるかもしれない。
全体的な雰囲気は、「水の精霊」に比べると爽やかで重苦しくない。主人公の性格がさっぱりしているのと、筋運びがよりエンタメっぽくなって、痛い描写が減り、先へ進みやすくなったせいだと思う。もちろん読みやすいだけではなく、内容は恐ろしく充実している。場所や状況の描写が非常に具体的だし、描写の合間に大小さまざまな伏線が蜘蛛の巣のように張り巡らせてある。
この物語の中心となるのが磐笛(いわぶえ)。事故死した考古学者を父に持つ主人公が、父が追いきれなかった磐笛の謎に迫ろうとするも、そこに横槍が入って……という展開。もう少し詳しく言うと、大きな勾玉型の笛、あるいは天の磐笛と呼ばれるものが縄文時代から存在していて、それは祭祀に使われ、実際に降霊術に使われたのではないかという仮説を主人公が追う。
その主人公には呪術師のおじがいて、呪術バトルをくりひろげたり、土笛吹きのクラスメートの女の子といい関係、つまりデートをするような関係を結んだりと、まわりもしっかり固めてある。
個人的に「勾玉=楽器」説には非常に惹かれるものがある。私自身、土笛とか石笛には興味があって少し調べたことがあって、実際に神様を降ろすために石笛=自然に穴が開いた天然石を鳴らす人々がいることも知っているから、この物語世は面白くてたまらない。
さらに、音と言葉の関係にも踏み込んでいるところが非常に興味深い。恐らく物語が進めば、根源的な言葉、音楽と言語が未分化である世界にも迫るのではないかという気がする。
4冊構成の中の1冊めなので、まだまだ物語は序盤。続きは首を長くして待ちます。

広告