今回の課題本は、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」

「ワイドスクリーン・バロック」に類されるこの作品は、とんでもない代物で、主要な登場人物は、権力は持ちながら性根はろくでもない奴らばかり(そうではない人物もごくわずかならがいますが)。そして惜しげも無く注ぎ込まれる豊富なアイデアやギミック。これらは、のちのSFやアニメ、コミックなどに多大な影響を与えている。
今回の読書会では、このようにある意味「宝箱」というか小学生男子の机の中身のような物語が俎上に乗せられた。

読書会の流れは、10人弱のグループに分かれて、自己紹介の後に感想・意見の交換→おすすめ本・関連本の紹介→休憩の後、各グループでどんな意見が出たかを披露する。
これが大変良い感じで機能した。個別に感想を語り合うにはやはり10人以下がやりやすい。しかも最後に全員でそれぞれのグループの意見を共有すれば、より多くの見方に触れることができる。また、おすすめ本の紹介コーナーがとても勉強になる。ここで名前が上がった本にはハズレがないのがいいところ。

今回の参加者は前回よりさらに増え、総勢32名。男女比はおおよそ半々。年齢層は学生さんからシニアグラスにお世話になる世代まで幅広く散らばって、良い感じだったのでは、と。

色々な人の感想を聞くと、自分とは違った見方、視点が出てくるので面白い。たとえば、自分はこの作品を破天荒ではあるがそれが面白いと評価したが、逆に主人公についてゆけず物語そのものも好きになれなかった人もいる。アイデアやギミックがたくさん登場する上に、物語がどんどん展開してゆくので、追いつくのが大変という人もいた。また、この作品は基本的には復讐譚なのだが、多くの要素が絡み合っているので、ピカレスク小説として読めたり、宗教小説、教養小説としても読めると多面的な解釈をしてくれた人もいた。あるいは主人公にかかわる3人の女性は結局「母」なのだと読んだり、人類の進化を示唆していると解釈したり。
いずれにしても自分一人の頭ではとても思いつかないような考えがあふれ、「なるほど~!」の連続だった。これがまさに読書会の醍醐味。
と同時に、感想の豊かさ、解説の幅広さは、読んだ当人のリソースがそのまま反映されるので恐いな、とも思ったのだった。

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