「忍剣花百姫伝」〈3〉-〈4〉

4591093751 忍剣花百姫伝〈3〉時をかける魔鏡 (Dreamスマッシュ!)
越水 利江子
ポプラ社 2006-08

by G-Tools

児童書めぐりツアー(?)、今度は少し目先を変えてみた。中世の日本が舞台となっている、剣と魔道のファンタジー。つらつらと設定を見ると、某八犬伝を彷彿とさせるが、この手の話が好きな子にはたまらない世界に違いない。


主人公は天竜剣を持つ花百姫(かおひめ)と、彼女を守る八人の剣士たち。舞台が戦国時代の日本となっているので、剣士たちは忍の者の姿をとる。
剣を振るうお姫様とは、なかなか男勝りでよいと思い、ページを開いたら、姫様の1人称は「おれ」だった。衣服も当然のように男物。諸事情で盗賊に育てられた女の子だから納得はいくが、そうか、そういう時代だったかと少しばかり考え込んだ。
八人の剣士は巻が進むに従い少しずつ明らかになっていく仕掛けになっていて、当然ながら、誰もがしっかりキャラ立ちさせてある。作者のサイトに行くと、キャラの人気投票コーナーがあるとか。
ちなみに、管理人は八剣忍のうち、空天の法の術者であり、天地自由の水の剣を操る天魚(あまご)がイチ押しであります。
魔道の技がいろいろと凝っていて、水天の法(テレパシーの一種)やら飛天の法(サイコキネシスの仲間っぽい)やら空天の法(ほぼタイムトラベル)やらがでてきて、それぞれに解説がなされているのだけど、消化するのに少々時間がかかった。1巻目から順に読んでいれば混乱はなかったのだろうが、時間の節約のため、横着したのがよくなったかもしれない。
重要な小道具の九神宝や、その他もろもろの術など、実に見事に細かくきちんと設定してある。ファンタジーで何が面白いかって、こういった特殊能力や小物の設定と使い方。こういうのが凝っていると、読み手が面白いのはもちろん、何より作者が楽しいと思う。^^;
忍剣花百姫伝 4 (4) (Dreamスマッシュ! 22)
越水 利江子 陸原 一樹
4591098907
さて、中盤のクライマックスとなる4巻では、花百姫はタイムトラベルに失敗して、なんと10年前、しかも姫の居城が陥落する直前に降り立ってしまう。姫の本心は、戦いを未然に防ぎ、父の命を救えるものなら救いたい。しかし、そんなことをすれば時間の流れにゆがみがおきてしまい、姫の存在そのものがゆらいでしまう。葛藤の中で、姫はできる限り被害を最小限度に(つまり、敵に姫の存在を察知されぬ程度に)おさえる手段をとるしかなかった。
主人公にとってはなんとも惨い展開だが、読者としては、すべての事の発端、つまり姫の居城であった八剣城がどのようにして陥落したのか、また、敵はどんな奴なのかをリアルタイムで見ることができる。さらには、なぜ八剣忍の一人が裏切ったのか、そのいきさつまではっきりと。いやあ、物語はこれでなくては。

“「忍剣花百姫伝」〈3〉-〈4〉” への 2 件のフィードバック

  1. 4巻まで出てますよ~。たぶん、もうじき5巻もv 私も続きが楽しみです♪
    ……って、・w・bさん、お初ですけども、どちらからお越しで? 

  2. アタシσ(゜-^*)1巻目と2巻目しか読んでません;早く読みたいですなぁ

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