「刀語 第一話 絶刀・鉋」

4062836114 刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)
take
講談社 2007-01-10

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いきなりでアレなんですが、アニメ版の方がいい感じです。(若干削られているエピソードがあるにもかかわらず)
文章で読むと、蝙蝠(コウモリ)のマシンガントーク的(?)勢いが消えてしまうし、人物の動きのスピード感がイマイチ感じられないなぁと。これは先に原作を読んでいれば気にならなかったのだろうけど。
それと原文は意外にも80年代の残り香がするのですが? これはわざと狙ってるのかしらん。

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「人類は衰退しました」

409451001X 人類は衰退しました (ガガガ文庫)
田中ロミオ
小学館 2007-05-24

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とあるBOOK○FFの書棚で妙なYAを見つけました。
題名にひかれて中を開いてみると、中は何ともまったりした妖精さんの平和な世界。××文庫とか×××文庫にありがちなバトルシーンや恋愛すったもんだのシーンはかけらも匂ってきません。そのかわり甘いお菓子のにおいと容赦なく退化してしまった人間世界のにおいが漂ってきます。その中にわずかに学舎のややかび臭いにおいがまじっているのが救い?かも。
作者の狙い通り(?)YAの定石をはずしまくっている、ある意味果敢な挑戦作だと思う。

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「鋼殻のレギオス」

4829118032 鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)
富士見書房 2006-03

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レギオスというのは歩く都市。自律型都市で人のように心を持っている。人が生きてゆけないほどに汚染された大地の上、汚染獣をよけながら歩き続け、ゆりかごのように人類を守っている。
たいていの人間は生まれ育ったレギオスを離れることなく一生を終えるが、中にはそこを離れなくてはならない人々もいる。
史上最年少で天剣授受者となった少年レイフォンもその一人。事情があって天剣を失った彼は戦いに身を置く武芸者として生きることをやめ、学園都市で自分探しを始めるが、世の中そんなに甘くない。否応なしに戦闘の場へ引きずり出されてゆく。

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「されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons」

4094510729 されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons~ (ガガガ文庫)
浅井ラボ
小学館 2008-05-21

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竜と剣と「咒式(じゅしき)」という名の魔法が登場するファンタジー。現実世界の地名を置き換えて多少手を加え、そこに竜を放り込んだ異世界で物語は進む。主人公は主に荒事専門のなんでも屋を営む攻性咒式士のガユスとギギナ。依頼に応じて竜を狩ったり危険物輸送の警護をしたりする。
設定そのものはとてもスタンダードだが、戦闘は苛烈を極め、「予定調和? なにそれおいしいの?」というシビアなストーリー展開、それとは逆に細部まで調和している世界設定が魅力的。
やたらに分厚い文庫本だけど、それはたぶん咒式が発動するさいの化学的説明に枚数を割かれているからじゃないだろうか。もし魔法を化学作用や物理法則の観点から説明したらどうなるか、という無謀かつ興味深い試みにものすごく力点が置かれている。
長い話ではあるが、筋そのものは、語り手かつ主人公であるガユスが頭脳明晰なおかげで、とても追いやすいし、陰謀のしくみもわかりやすい。あまりに筋道だっていて、時々先が読めてしまうのが難点であるぐらい。
この話に登場する竜族は、ゲド戦記の竜によく似ている。圧倒的な力、知性や独自の言葉を持つ点、人間を一段低い存在だと見なしつつ共存の道を探らなくてはならない点など、考えるほどそっくりだ。ただし、1匹だけ例外的な竜がいる。どこまでも人間でありながら竜に匹敵する力を振るい、節操を持たないという点で本来の竜よりやっかいな奴が。それが誰であるかはあえて書かないけれど、作者はどこまでも甘くないなぁと感嘆した。

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「ちーちゃんは悠久の向こう」

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫) ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)
日日日

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朝、子どもたちを送り出して、家事にとりかかる前に少しだけ読もうと思って気づいたら最後の解説にたどりついていた。おかげで洗濯物が夕方までに乾かない(>_<)
内容は、幽霊と怪奇現象をひたすら追い求める女子高生と、彼女のクラスメート&幼なじみで両親からの虐待を受け続けている男の子の話。この二人の恋愛というか絆を描きつつ、それと重なるようにして、人それぞれの「非日常」についてうんちくを傾けているところが興味深い。
裏表紙には「ホラー」と紹介されているけれど、「嘘つきまーくん~」に比べたら全然恐ろしさが少ない。むしろちょっとしたファンタジーだと思ったほうがいいかも。

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